[Quarto](https://quarto.org/) は、[[Posit]] が開発する科学技術ドキュメント向けのオープンソースの出版システムである。コードチャンクを埋め込んだ Markdown (`.qmd`) を入力に、計算結果と一緒に HTML / PDF / Word / プレゼンテーション資料などへレンダリングできる。
R Markdown の系譜を引き継ぐ後継として、Pandoc を基盤に 2022 年に公開された。[[R]] に閉じていた前身を、R / [[Python]] / Julia / Observable など複数言語のコードチャンクを統一した記法で扱えるよう拡張し、言語横断で使える文書作成ツールへ広げている。
## インストール
Homebrew Cask で macOS にインストールする。
```bash
brew install --cask quarto
```
インストール後、バージョンを確認する。
```bash
quarto --version
#> 1.9.37
```
## 設計思想
Quarto のドキュメントは、3 つの異なる読み手と場面を 1 つのソースで支えるよう設計されている。
1. **意思決定者とのコミュニケーション**: 意思決定者は分析の背後にあるコードではなく結論と図表に関心を向けるため、コードチャンクを折りたたんで出力結果だけを見せるレポートとして機能する
2. **他のデータサイエンティスト (将来読み返す自分自身を含む) との協業**: 協業相手は結論だけでなく、どのような前処理やモデル選択を経て結論に至ったかにも関心を持つため、コードと結果が一体となったドキュメントが議論の土台になる
3. **書き手自身が分析を進める作業環境**: 実験ノートとして、実行した手順だけでなく「なぜこの方法を選んだか」「次に試したいこと」など考えていたことも一緒に書き残す場になる
## 関連ノート
- **[応用]** [[rpj コマンドで R + Quarto + renv の分析プロジェクトを Positron で立ち上げる]]: Quarto を含む R 分析プロジェクトの作成・起動を自作コマンドにまとめた実装例
- **[派生]** [[tibble の print 表示の見切れを width で回避する]]: Quarto を HTML にレンダリングしたあとの横スクロール環境で、tibble の全列を 1 段で表示するための `options(width)` 設定